読書貯金はじめました。

読書貯金とは私の造語です。本を要約・評価しつつ記事にして、読み返して智慧になるような記事を書いていきたいと思います。

「蔚繚子/蔚繚(訳:守屋洋・守屋淳)」を読んでみました。

はじめまして。


KISOと申します。


本日は、「司馬法」という本についてご紹介いたします。

 

普段であれば、ここで何かしらの引用文を用いて説明したいところですが、蔚繚子に関する情報は他の兵法書と比べて随分と情報が少ないです。

 

実際、日本語で確かめることの出来る情報は”守屋洋守屋淳”のお二方が翻訳した本からのみ得られる状態です。

 

そもそも、翻訳されたお二方によると、蔚繚とは何者なのかということに答えること自体が難しいとのことです。

 

書物から確認することの出来ることは、魏の恵王と同時代の人物であるということのみです。

 

この書は、蔚繚が恵王の下問に答える場面から始まっているのだが、ここで彼は黄帝の名を借りて、天文方位の説や陰陽による占いを否定しています。

 

その訳としては、蔚繚はとにかく不確定な考えを嫌っており、どこまでも合理的な思考を積み重ねて戦争の真理を追究していたと言われています。

 

それが全編を通して確認することの出来る蔚繚の思想だと言えます。

 

それでは、内容について改めて触れていきましょう。

 

まず、何故蔚繚とは何者なのかという問題に答えることが難しいのか。

 

何故ならば、この「蔚繚子」の作者には二人の蔚繚が挙げられるからです。

 

一つ目の説は、斉の人物で、鬼谷子の門人であったという説。

 

二つ目の説は、魏の人物であり、恵王に仕えていたという二つの説があげられます。

 

ちなみに、後者の説には続きがあります。

 

蔚繚は秦に滅亡寸前まで追い詰められた魏から抜け出して、秦へと入ります。

 

それから秦が中華を統一するにあたって、その助けとなるような進言をしていたとも言われています。

 

どちらの説を支持するのかは人によって分かれるとことではありますが、後者の説の方が内容も濃く時代背景も浮かびやすいので個人的には好きなところです。

 

ただ、「蔚繚子」の内容として特徴的なことは一つだけあり、法則の確立を説き、信賞必罰を唱えた法家の影響が出ているということです。

 

当時の法家と言えば、韓非子や李子といった法に関する考えを大きく発展させた人物が挙げられます。

 

蔚繚に関してはあまりに情報が少ないので、あまり時代背景などの情報を載せることが出来ませんが、最後にいくつか「蔚繚子」から印象的な文章を抜粋しますので、今後の参考にしてみてください。

 

◆冷静に状況を判断し、勝算我にありと見極めれば、利あらずと見れば退く心構えが肝心である。また、軍事行動を起こす時は、速やかな収束を心がけるべきだ。すなわち、軍事行動の目標が百里いないの近くにある時は、一日も費やさずに作戦を完成させなければならない。

 

◆軍事の第一要件は、法制を確立することである。法制が確立すれば、軍に統制が生まれる。統制が生まれれば、軍規は厳正に保たれる。

 

◆戦争には次の三種類の勝ち方がある。
 一.「道」すなわち政治力で勝つ。
 二.「威」すなわち威嚇力で勝つ。
 三.「力」すなわち軍事力で勝つ。
 政治、経済、軍事の充実をはかりながら敵情の分析研究を怠らず、敵軍の繊維を阻喪させて統制力を乱し役に立たないようにしてしますこと。これが「道」である。
 法制を整え、賞罰の規程を明確にし、武装を整え戦意を高揚させること。これが「威」である。
 敵軍を撃ち破り、作戦目的を達成して帰国すること。これが「力」である。

 

◆軍も動かさず、戦闘も交えずに敵の戦意を喪失させるにはどうしたら良いのか。
 それには次の五箇条に配慮する必要がある。
 一.作戦計画の策定。
 二.軍司令官の選任。
 三.侵攻作戦の決定。
 四.防衛態勢の構築。
 五.平定作戦の遂行。
 この五項目の実施に際しては、あらかじめ正確に敵情を分析しなければならない。

 

◆将帥を恐れている部下でなければ、手足のように動かすことが出来ない。部下を命令に従わせるのは恩愛であり、将帥の地位を確立するのは威信である。恩愛と威信、この二つによってこそ部下は喜んで命令に従う。

 

◆戦争とは、あくまでも暴虐を罰し、不義を討つための手段にすぎない。

 

◆統治を効率的に行うためには、官吏を文官と武官に分けて職務を明確に定めなければならない。天子が諸侯を供応するには、それにふさわしい礼制を規定しなければならない。また、国論を統一するためには、遊説の士や間者の潜入を防がなければならない。

 

以上が私が印象深いと感じた内容になります。

 
他に「司馬法」「李衛公問対」という兵法書の内容が載っていますので、ご興味のある方は「蔚繚子」と合わせて読んでみてください。

 

それでは、本日はここまでとなります。

 

また、次回の記事でお会いしましょう。

 

[新装版]全訳「武経七書」2 司馬法 尉繚子 李衛公問対

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