読書貯金はじめました。

読書貯金とは私の造語です。本を要約・評価しつつ記事にして、読み返して智慧になるような記事を書いていきたいと思います。

「初恋/トゥルゲーネフ(訳:沼野恭子)」をAmazon読み放題サービスで読んでみました。

はじめまして。
KISOと申します。
本日は、トゥルゲーネフの「初恋」という本についてご紹介いたします。

Amazonの著者紹介によると、

 

イワン・セルゲーエヴィチ・トゥルゲーネフ
[1818-1883] ロシアの小説家・劇作家。深い教養と冷静な観察力で、ロシア社会が抱える問題をテーマに幾多の名作を書いた。若き日に無政府主義者バクーニンとの共同生活を体験し、50代ではフローベールやゾラと交際するなど、ロシアとヨーロッパの作家、思想家との交流を通じ、両者の懸け橋となった。主作品に『貴族の巣』『ルージン』『父と子』などがある。

[訳者]沼野恭子
ロシア文学研究家・翻訳家。東京外国語大学講師。主著に『アヴァンギャルドな女たち-ロシアの女性文化』『世界の食文化〈19〉ロシア』、主訳書に『ペンギンの憂鬱』(クルコフ)、『それぞれの少女時代』(ウリツカヤ)、『墜ちた天使-アザゼル』(アクーニン)ほかがある。

 
と、紹介されています。

トゥルゲーネフの「初恋」はいくつもの翻訳本が出ておりまして、世間一般には知れ渡っている作品だとは思いますが、私がトゥルゲーネフの本を読むのは今回が初となります。

 

時に、私はトゥルゲーネフと呼ぶよりも、ツルゲーネフと読んだほうがしっくりきます。

 

前者の方が、より正確な発音らしいのですが、私としては後者の方が発音しやすいです。

 

もしかしたら、日本人にとっては、ツルゲーネフと言った方が発音しやすいのでかもしれませんね。


ちなみに、Amazon上ではこのような評価となっております。

2018/10/18現在 ★★★★☆(22レビュー) 。

 

昔ながらの名作ということもあって、高評価ですね。

 

それでは所感を述べていきたいと思います。

まず、ストーリーを簡単にご説明しますと、

 

主人公のウラジミールと、ヒロインのジナイーダ、その二人を取り巻く人間関係が渦巻いていくという若い少年の初恋を描いた物語となっています。

 

しかも、その境遇というものが何とも王道的。

 

ウラジミールの隣の家に、公爵令嬢のジナイーダが引っ越してきて、一目惚れをしてしまうという、最近もはや昨今で久しく聞かないような展開となっています。

 

そして、ジナイーダはウラジミールよりも3歳年上で、かつ彼女の周囲には侍らすほどの男性がいる環境となっています。

 

そのせいか、ウラジミールはジナイーダの一番になりたくともなかなかなれない。

 

さらに、この年齢差のせいで、ウラジミールはジナイーダからは弟分程度にしか見てもらえないという何とも歯がゆい展開の物語となっています。

 

その時のウラジミールの心境を表現した一文が、こちらになります。

 

「ジナイーダの着ている地味な色の着古したドレスやエプロン。その襞という襞を片っ端から撫でさすりたいと思いました。ドレスの裾から顔を出している靴の先端。その靴に跪いて崇めたいと思ったほどです」

 

「嫉妬に苦しんだり、自分のつまらなさ加減を思い知ったり、馬鹿みたいにぷんぷん膨れたり、馬鹿みたいにおもねったりするのですが、それでもなお抗いがたい力が働いて、いやおうなくジナイーダに惹かれ、彼女の部屋に足を踏み入れるたびに幸せのあまり体が震えるのでした」

 

完全に、恋は盲目という言葉を体現した表現ですね。

 

もはや、信仰の領域に踏み込んでいます。

 

私の高校生時代を思い出します。

 

いや、まあ、私の高校生時代はどうでも良いのですが……。

 

いずれにしろ、物語としての醍醐味は、それからウラジミールの心境の変化であったり、精神的な成長が描かれている部分にあります。

 

また、ジナイーダの心境の変化を汲み取ることでウラジミールにも心境の変化が訪れます。

 

要するに、ジナイーダが何者かに恋することで雰囲気が変わり、ウラジミールがソレを察するということです。

 

そこにお互いの心境が良くも悪くも変化するのです。

 

普段は高飛車で令嬢らしい振る舞いをしているジナイーダが次のようなセリフを言うのです。

 

「どうして詩が素晴らしいかっていうと、詩を読むと、この世にないものまでわかるからよ。しかも、この世にないもののほうが、この世にあるものより素敵でずっと真実に近いんですもの。愛さずにはいられない――愛さずにいられたらいいのにって思うのに、愛さずにはいられない!」

 

ああ、もうこれは完全に恋する乙女のセリフですね。

 

しかも、それはイケない恋だと分かっている立場の人間のセリフです。

 

オチにまで言及することはありませんが、最終的にウラジミールがたどり着いた物語としての答えが、終盤で述べられています。

 

「青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところにではなく、なんでもできるとおもえるというところにあるのかもしれません。持てる力を、他に使いようがないまま無駄遣いしてしまう、そこにこそ青春の魅力が潜んでいるのかもしれません。だれもが自分のことを浪費家だと本気で思い込み、『ああ、時間を無駄につぶさなかったら、どれほどすごいことができただろう!』と本気で考える、そこにこそ潜んでいるのかもしれません」

 

ここの主張に関しましてはなるほど納得。

 

10代の若気の至りを乗り越えて、その過去の産物を振り返って遠くから眺めることの出来る人間のセリフです。

 

賛否両論かもしれませんが、そのあたりの主張に関しましては読者の方に任せるとしましょう。


それでは、本日はここまでとなります。

また、次回の記事でお会いしましょう。 

はつ恋

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はつ恋

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初恋 (光文社古典新訳文庫)

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