「エピクロス―教説と手紙 /エピクロス(訳:出隆・岩崎允胤)」を普通に読んでみました。
はじめまして。
KISOと申します。
本日は、エピクロスの「エピクロス―教説と手紙」という本についてご紹介いたします。
今回はAmazonで著者紹介を行っていないので、コトバンクから引用したいと思います。
[没]前270. アテネ
ギリシアの哲学者。前 311年頃ミュティレネに学派を創始,306年にはアテネ郊外の庭園に移った。そこで彼の学派は庭園学派と呼ばれる。デモクリトスの原子論を根底にもち,霊魂をも物体とする唯物論者であり,感覚を知識の唯一の源泉かつ善悪の標識とする。そこから有名な快楽主義が生れる。しかし,その快はわずらいを伴うものであってはならないから,享楽であるより苦しみのない心の平静でなくてはならない。そこで彼は来世を否定して死に対する恐怖を断ち,神々を恐れる迷信を乗越えてみずから神々の平静さにあずかろうとした。この努力により彼は魂の救済者との名声を得,その範例的生ゆえに人々の尊敬を集めた。
と、紹介されています。
エピクロスに関しましては、元々興味がありましてずっと読みたいとは思っていました。
確か、初めて知ったのは渋沢龍彦の「快楽主義の哲学」で頻繁に引用されていたために興味を持ったのだと記憶しています。
※ちなみに「快楽主義の哲学」の記事はコチラになります。
また、この本はAmazon上ではこのような評価となっております。
2018/10/14現在 ★★★★☆(10レビュー。実際は★4.5) 。
それでは、早速本書に対する所感を述べていきたいと思います。
まず、この本はタイトルにある通り、エピクロスとの手紙のやり取りについて記録したものであり、また教説についてまとめられているものとなっています。
1つ目は、ヘロドトス宛の手紙。
2つ目は、ピュトクレス宛の手紙。
3つ目は、メノイケウス宛の手紙。
そして、主要教説と断片がまとめられている形です。
私個人としましては、メノイケウス宛の手紙の箇所で非常に興味深い考えを見付けました。
「死は我々にとって何ものでもない、と考えることに慣れるべきである。というのは、善いものと悪いものはすべて感覚に属するが、死は感覚の欠如だからである。(中略)我々が存在する限り、死は現に存せず、死が現に存する時には我々は存しないからである」
要するに、私達は生きている存在であると同時に、死と同じ瞬間に存在することはできないため、死という概念を恐れる必要はないということでしょうか。
確かに、言わんとしていることは分かります。
しかし、だからと言っていきなりこの境地に達することも難しいのではないかとも思ってしまいます。
この考え自体は悪いものではないのは確かですが、人間の精神や考え方は移り変わるものであるため、一概にはなるほどそうかとうなずくことは難しいです。
むしろ、キュブラー・ロスの「死の受容モデル」の受容段階にも似ているような気がします。
ちなみに、「死の受容モデル」とは、
第1段階:否認と孤立(denial & isolation)
第2段階:怒り(anger)
第3段階:取り引き(bargaining)
第4段階:抑うつ(depression)
第5段階:受容(acceptance)
以上の5段階のことを指します。
詳しくは、グーグル先生に訊くか、こちらの本をご覧ください。

- 作者: エリザベスキューブラー・ロス,Elisabeth K¨ubler‐Ross,鈴木晶
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/01/01
- メディア: 文庫
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キュブラー・ロスに関しましては、また機会がありましたらご紹介いたします。
話を戻しますが、最後に3箇所、主要教説と断片から興味深い主張がありましたので、そこを引用して今回は締めたいと思います。
「人生の真実の目的(肉体において苦しみなく、精神において平静なこと)と、我々が諸々の判断を帰着させるあの全き明瞭性とを、考慮すべきである」
「正義はそれ自体で存在するものではない。それはむしろ、いつどんな場所でにせよ、人間の相互的な交通の際に、互いに加害したり加害されたりしないことに関して結ばれる一種の契約である」
「我々は、自然を強制するべきではなくて、自然に服従するべきである。そして、自然に服従する道は、必然的な欲望を満たし、自然的な欲望も、害にならない限り、これを満たし、害になる欲望はこれを厳しく却ける」
この辺りが、エピクロスの伝えたい主要な箇所になりますでしょうか。
私個人としては好きな考え方でして、「肉体において苦しみなく、精神において平静なこと」という部分に関しましては、私自身も目指していきたい考え方であります。
それでは、本日はここまでとなります。
また、次回の記事でお会いしましょう。