読書貯金はじめました。

読書貯金とは私の造語です。本を要約・評価しつつ記事にして、読み返して智慧になるような記事を書いていきたいと思います。

「肉体の悪魔/ラディゲ(訳:中条省平)」をAmazon読み放題サービスで読んでみました。

はじめまして。
KISOと申します。
本日は、ラディゲの「肉体の悪魔」という本についてご紹介いたします。

Amazonの著者紹介によると、

 

ラディゲ,レーモン
1903‐1923。フランスの詩人・小説家。風刺画家を父として、パリ郊外に生まれる。幼少期は成績優秀な生徒だったが、長じて、文学に傾倒。14歳で『肉体の悪魔』のモデルといわれる年上の女性と恋愛関係となり、欠席が増えて退学処分となる。退学後、詩人のジャコブやコクトーと出会い、処女長編小説の『肉体の悪魔』で文壇デビュー。ベストセラーとなる。その後もコクトーと旅をしながら『ドルジェル伯の舞踏会』を執筆するが、1923年、腸チフスにより20歳の若さで死去 

中条/省平
1954年生まれ。学習院大学教授。仏文学研究のほか、映画・文学・マンガ・ジャズ評論など、多方面で旺盛な活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


と、紹介されています。

あまりにも早すぎる死ですね。

 

生前に発表された作品に関しましては、この「肉体の悪魔」だけなのではないでしょうか。


また彼の書いたこの本はAmazon上ではこのような評価となっております。

2018/10/13現在 ★★★★☆(15レビュー。実際は★4.5) 。

それでは、早速本書に対する所感を述べていきたいと思います。

まず、この本の展開としてましては、一人称視点で物語が進んでいき、主人公は学生生活を送りつつ19歳の人妻であるマルトと出会い、恋愛関係に陥っていくというものです。

 

主人公は毎晩彼女のもとへと赴き、その過程を通して様々な思考を巡らせていきます。

 

作品の初期で見られる表現としましては、

 

「体の触れあいを愛のくれるお釣りくらいにしか思わない人もいるが、むしろそれは、情熱だけが使いこなせる愛のもっとも貴重な貨幣なのだ」

 

という表現が見られます。

 

これは、もしかしたら主人公が一つの気付きがあった瞬間なのだと思います。

 

15歳の主人公と、19歳の人妻のマルト……二人が生きてきた環境が違えば、考え方も違う。

 

そして、何よりも大人と子供の考え方の違いが大きく現れ、そのギャップに苦しみながらも心情の変化がまた訪れます。

 

「平静に死を直視できるののはひとりで死と向かい合った時だけだ。二人で死ぬことはもはや死ではない。凝り深い人だってそう思うだろう。悲しいのは、命に別れを告げることではない。命に意味を与えてくれるものと別れることだ。愛こそが命なら、一緒に生きることと一緒に死ぬことのあいだに、どんな違いがあるというのだろう?」

 

この時になると、主人公はマルトが本当に自分を愛してくれているのかと疑問に思ったり、自分自身が抱いている愛の感情にも考えるようになっていき、その自分だけの真実に対する考察を深めていく段階になっています。

 

簡単に言うと、メンヘラ状態ですね。

 

ネタバレをしないために最後の結末に関しましては、述べないようにはしますが、この物語に関してまとめますと、メンヘラの主人公とそれに感化された人妻マルトが、あえて不幸の道を歩んでいくような物語なんです。

 

題材としては、非常にありきたりで当時のフランスでは出し尽くされているような題材なのではないでしょうか。

 

しかし、それでも評価されている所以としましては、緻密な人間の心理描写を描いているところにあるのでしょう。

 

しかも、初めて大人の恋愛を知って、底なし沼にのめり込んで行くかのような主人公の行動。

 

もはや、それは理性でどうこうできるような状態ではなく、麻薬中毒者のように抑え込むことのできない欲求と罪悪感を描いている部分が、「肉体の悪魔」の魅力とも言えるべき箇所なのではないでしょうか。

 

話は脱線しますが、これは三島由紀夫が好んで読んでいたということにも納得の作品ですね。

 

三島由紀夫はの好みに関しましては、「仮面の告白」や「金閣寺」を読んでみるとよく理解できるのではないかと思います。

 

彼はフランス文学やドイツ文学を非常に好んでいた方でしたから。

 

インターネットで調べると、三島由紀夫のインタビュー動画なども見つけることも出来ると思いますでの、ご興味のある方は調べてみると面白いと思います。

 

今現在、三島由紀夫の作品が電子書籍で読むことが出来ないため、残念ではありますが、いずれこちらのブログでも紹介したいと思います。


それでは、本日はここまでとなります。

また、次回の記事でお会いしましょう。

肉体の悪魔(新潮文庫)

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肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫)

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肉体の悪魔

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