「美学入門/中井正一」を青空文庫で読んでみました。
はじめまして。
KISOと申します。
本日は、中井正一の「美学入門」という本についてご紹介いたします。
ちなみに、今回はUnlimitedではなく青空文庫になりますのでご了承ください。
Amazonの著者紹介によると、
中井/正一
1900年、大阪市生まれ。25年、京都帝国大学文学部哲学科卒業。30年、『美・批評』を創刊。34年、京都帝国大学文学部講師、48年、国立国会図書館副館長に就任。1952年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
と、紹介されています。
素晴らしい学歴、経歴だとは思いますが、実績に関する情報がちょっとだけ少ないでしょうか。
さらに著者に関する情報を引用してみましょう。
図書館情報学用語辞典によりますと、
900(明治33)-1952(昭和27).広島県竹原市出身.美学者,国立国会図書館副館長.京都大学哲学科卒業後,戦前のファシズム的風潮に対抗して,久野収らとともに雑誌『世界文化』(1935-1937)と『土曜日』(1936-1937)を創刊するが,1937(昭和12)年,「治安維持法」違反で検挙.第二次大戦後,1945(昭和20)年に尾道市立図書館長,紆余曲折の末1948(昭和23)年に設置された国立国会図書館副館長に就任した.1949(昭和24)年6月から1952(昭和27)年5月,日本図書館協会理事長として,戦後混乱期の中にあった図書館界を結集,「図書館法」制定に尽力する.論文「委員会の論理」(1936),著書『美と集団の論理』(1962)などを執筆,また,機能主義的図書館論を展開した.
と、記されております。
ここまで読むと、なかなか活動的な方だったことが分かります。
また彼の書いたこの本はAmazon上ではこのような評価となっております。
2018/9/26現在 ★★★★★(1レビュー) 。
レビューの数は少ないのですが、美学という研究している方の少ない分野(に個人的に感じる)になりますので、貴重な意見や思想を取り入れるため、解読していきましょう。
それでは、早速本書に対する所感を述べていきたいと思います。
まず、この本は一番最初に美学とは何なのかについて述べてくれます。
「美学とは何を学ぶ学問であろうか。大体人々は価値のあるものとして、真実であること、善良であること、美しくきれいえあることの三つを好み、尊敬し、愛するのではないだろうか。その真実について学ぶのが、哲学、論理学であり、善良であることについて学ぶのが倫理学であり、美しいこととはなんであるか、芸術とは何であるかを考え、たずねていくことが美学なのである」
と、冒頭で著者は述べています。
やはり、私のような素人から見ると、美学と言われてもピンと来ないものです。
しかも、哲学や倫理学と混同して考えがちなのですが、一番最初にその違いについて述べてくれています。
そして、著者の出している結論としては、次の二つの文章に集約されているのだと思われます。
「美というのは、いろいろの世界で、ほんとうの自分、あるべき自分、深い深い世界にかくれている自分にめぐりあうことだということを考えてきたのであるが、ここで大切なことは、このほんとうの自分が、何か神秘的な、神がかりな、固定された自分ではないということなのである」
「美とは、自分にはまだわからなかった自分、自分の予期しなかった、もっと深いというか、もっと突っ込んだというか、打ち寄せる波のように、前のめったというか、自分が考えている自分よりももっと新しい人間像としての自分にめぐりあることであることを、繰り返し繰り返し考えてきたのである」
なるほど、主張としてはとても生気に満ち溢れた主張のように感じられます。
確かに、言わんとしていることには理解を示すことが出来ます。
しかし、個人的な意見にはなるのですが、彼の考える美学というものには客観というものが欠けているようにも考えられるのです。
言いたいことはわかるのですが、あくまでも美とは自分のありきのモノというようにも感じるのです。
間違ってはいないとは思いますが、やはり美とは第三者的に見ることで評価され価値が生まれてくるものなのではないでしょうか。
一方で、個性豊かな美を見出すためには、本来の自分の深層心理を引き出して、ソレを表面化して第三者にまで評価されるまで磨き上げた宝珠のようなものが、真実の美ということができるのではないでしょうか。
ちなみにジョハリの窓というものがあります。
ジョハリの窓とは、
・自分だけが知っている自分
・自分も他人も知っている自分
・他人だけが知っている自分
・誰も知らない自分
の四つに分類した自己解析の考え方の一つです。
もしかしたら、このすべての自分を統合し磨き上げた自分こそが、真実の美を見いだせる瞬間なのではないでしょうか。
それでは、本日はここまでとなります。
また、次回の記事でお会いしましょう。